「____ふぎゃっ!!」
皇紀の目の前で皇紀よりも年若い少年、霜崎水希は豪快に転ぶ。
顔面から転んだので少し鼻をこすっていた。
だが、
「痛いよぉ」
と呟き少し潤ませた目で皇紀のことを一度見てから、自力で立ち上がり再び歩き出した。
「ちょっと…すこし落ち着けよ」
そういって笑うと水希はつられて笑った。
「あははっごめん、皇紀っ」
皇紀と水希は零を迎えにルクータ街の門へと急いでいた。
零は数日前にミラに用事がある。2人もその用事についてきてほしいと連絡してきた。
「だってお兄ちゃんに久しぶりに会えるんだもんっ。」
任務疲れで先ほどまでやつれていた水希とは違い、満面の笑顔で兄のもとへと急ぐ幼い弟の姿になっていた。
「そうだね。でも転ぶなよっ!」
「はーい」
2人は揃って歩いた。
だが、遠くのほうで場違いな真っ赤な髪の零を見つけた瞬間、水希は先に走って行ってしまった。
「お兄ちゃーんっ!」
水希の声で顔を上げた零はにっこり微笑んで2人を迎えてくれた。
「久しぶり、水希、皇紀」
「久しぶり、お兄ちゃん!」
「久しぶりだね、零」
2人はそれぞれ簡単な挨拶を交わした。
その挨拶でさえ、水希は嬉しそうにしている。
そのとき、零の手荷物をみて皇紀は不思議に思った。
零は大量の資料を左手に右手には5本のワインを紙袋に入れて持っていた。
零はあまりワインなど呑まないはず…
何故ワインをそんなにたくさん持っているのだろうか?
「ねぇ、零っていつからワインそんなに呑むようになったの?」
零のもっていた紙袋を指差して言った。
「これは今から俺達が向かうところの差し入れだよ、皇紀。」
差し入れと聞いて納得がいき、黙って零と水希の後ろを歩いた。

