「おい。お前まだ薫に告白してないのかよ。臆病もんだなぁ。」

持っていた木刀を思わず落としそうになった。

目の前のこの男は何を言っているのだろうか。

昼間の休みを利用してベネッタの元へと訪ね、訓練の相手をしてもらっている最中の会話だった。

「うるさい、会うたんびに言うな」

「さっさと言わないと後悔するぞ」

「なんだよ…」

「俺は本気でお前らのこと応援してるんだよ、ちょこっとだけ面白いけどな」

にやっとした笑いで木刀を振り下ろす。

「だって…お前ら逆じゃねーか」

「何が?」

「性別」

バキンッ_____

思いっきり奴の頭へと木刀を下ろすと、奴は頭の上で軽々と木刀を受け止めた。

悔しいが、こいつは一筋縄では倒せないようだ。

「お前の髪形後ろから見たら女だぞ。」

「人の髪形に文句言わないでくれますか?」

「はははっ!まぁ、そう怒るなって!でも、薫はなんであんな風になったんだ??学生のときはもう少し雰囲気女の子らしかったじゃないか」

「…あれは、あいつの決意です」

「どういうことだ?」

ベネッタは、壁にもたれかかり、地面へと座った。

俺もその横へと座る。

「あいつは、友達思いなんです」

「友達思い?」

「薫はただたんに強くあろうとしてるだけ。俺にはそう見える」

「ほぉ。やっぱり愛しの彼女のことは何でも知ってるんだな。」

「彼女じゃねぇよ…」

「でも清。自分の思ってることを伝えるのは早すぎてもいけないときはあるが、遅すぎてもいけないときがあるぞ。」

ベネッタは人差し指をたてて授業のように俺に話す。

「そして、遅すぎて伝えられなかったときはきっと一生後悔をする。お前たちのしていることは、普通に生きている人間よりも、別れがいつ来るかなんて分からないんだぞ。だから早いとこ、思いを伝えろっ!☆」

「おい。殴られたいのか。」

途中までは真剣な顔で話していたのに、最後の最後でこの人という人は…

「悪かった、悪かった!そーカリカリすんな!でも、年上の意見は参考にするもんだぞー」

そう言ってわはははと豪快に笑いながら俺の肩を叩く。

「おっと。もうこんな時間か!次の授業の準備があったんだ。わりぃな、清!この辺りで終いな!」

「有難う御座いました。」

「おうよ!また男の語りしような」

「語りではなく、練習しましょう」

ベネッタはまた豪快に笑いながら闘技場を出て行く。

俺も自分の荷物をもって、闘技場から出た。


「後悔…か」



ぽつりと呟いた言葉は学校の廊下の賑わいによって消えていった。