「ロキ。そんなところから聞き耳をたてるなど、行儀が悪いですよ」

ロキと呼ぶ神父。

ロキ…ロレッタ

ゆっくりと振り返ると、前にシンで見かけたバイオリンの少年が俺のことをじっと見ている。

体が震え、声を出すことができなかった。
逃げることも、捕まえることも、殺すことも出来ず、ただ突っ立っているだけ。

なんて役立たずなのだろうか。

そんなことを思っているとロキは半開きの扉を開けて部屋へと入り、俺の前まで歩いてくる。

「おねーさん、おねーさんが薫?」

「いつから…そこにっ…」

「今さっきだよ」

そう少年は言って俺の手を握ろうとした。
俺はすぐに手を引っ込めると後ずさりする。

「お前が…ロキ=ロレッタ?」

「正解ーっ!よく分かったね。褒めてあげるよ。」

にっこりと微笑む少年はジリジリと俺に近づく。

殺人犯が目の前に。

俺の手の震えは止まらない。

「僕たちはおねーさんが欲しい。それにおねーさんはこちら側の人間なんだよ。おねーさんの嘘がばれたら、コルディアはすぐにおねーさんを消すよ」

「だから俺はお前たちとは違う…!俺は反逆者なんかじゃない!!!」

「…本当は、気づいているんじゃないの?」

そういったとき、俺の時は止まった…


「本当はわかっているんでしょ?僕たちがしようとしてること。僕たちが何者なのか。」

「…」


ふふっと頬をゆるまして少年は笑うと、口をひらいた。





「僕らは、助けられた。今度は僕らが、仲間として助けるんだ」