俺はまた故郷へと戻ってきた。

あの教会へ____

今度はコルディアの姿で。

扉を叩いてしばらくすると、神父が現れた。

神父は俺を見た瞬間扉を閉めようとしたが、俺は扉の間に足を入れてそれを制止させる。

「お帰りください。コルディアの方が何故ここに?」

「お久しぶりでございます。先日はお世話になりました。」

神父はしばらく沈黙したがすぐに俺のことを思い出したようで、古都様?と言ってから扉を開く。

「今日はエデンさんはいらっしゃいますか?」

「エデンは…出かけています」

「どこに?」

「街に買い物に出かけています。」

「少しお話をしたいのですがお時間よろしいでしょうか?」

「はい」

神父は扉を開き俺を中に入れると、ある一室に案内する。

そこには椅子と机、本棚とベッドが置かれ神父の部屋ということがわかった。

「先日はありがとうございました。今日は、別件で参りました。」

「はい」

「最近コルディアでロキ=ロレッタの脱獄の手助けした集団が出ました。我々はその集団のことを道化と呼んでおります。」

「はい」

単調とした返事。
その繰り返しかと思われた。

「最初に問おう。あなたは道化か?あるいは道化の仲間か?」

「…」

肯定すると思っていた。けれども返事は帰ってこない。


「シラを切るのはやめろ。俺の本当の姿を知っているのは、あなたかエデンさんだけだ。」

そういい、俺は姿を元に戻す。

黒い制服に俺の緑の髪がかかる光景は見慣れることは絶対ないだろう。

あまりにも不自然な色合い。

この姿を見た神父は一瞬目が泳いだ。

だがすぐに目線を外し、席を立ち窓際へと移動した。

「参りましたね。」

「お前たちが…沙羅を騙して…」

「騙してなどおりません。彼女は彼女自身で選んだ結末なのです。」

「ふざけるな!沙羅はあんな結末を望んでなどいない!仲間に銃で頭を撃ち抜かれる…誰がそんな結末を望むものか…」

そこまで言って俺の目は溢れ出る涙を抑えることが出来なくなった。

頭に浮かぶのは沙羅の顔。

学生時代からよく面倒を見てくれる先輩だった。

私が俺になったときも沙羅は何も問いただそうとはしなかった。

その分前よりも俺の練習相手になってくれた。

それがとても嬉しかった。

_____薫、もう仲間なのだから先輩と呼ばないで。沙羅と呼んで。一緒にこの世の中を少しでも平和に暮らせるように頑張ろ。ね。


「沙羅殿と最後に会ったとき、彼女は言ってました。私が薫殿を守る、と。」

「どういう意味だ…?」

「そのままの意味です。沙羅殿は薫殿を守ろうとありのままの場所へと戻そうとしたのです。」

「ありのまま…?」

神父は振り返りにっこり笑う。