「沙羅っ…」

ハート模様は口元に手を当てて声を出さないようにした。
そうでもしないとハートは泣いてしまいそうだから



雫模様は沙羅の顔を濡れたタオルで綺麗にふき取り、瞼をしっかりと閉じさせる。

「かけら、だよ」

スペードがダイヤ模様の小さな子供にネックレスを手渡すと子供は亡骸を抱きしめた。

「ありがとう」

そういってスペード、クラブにも抱きしめる。

「沙羅の死を無駄にしたらいけない。」

そういって雫は大きく固まった木の根っこを見る。

「やっと時が満ちたよ、君はもう自由だ」

「沙羅、もう少し待ってて。これが終わったら直ぐにお墓に入れてあげるから」

骸をそっと木の株の傍に横たわらせ、ハート、雫、クラブ、スペード、ダイヤは木の根っこに近づく。

木の根っこは屍のように眠る1人の人間を護るかのように生えている。


ダイヤは受け取ったネックレスを木の根に近づけると木は動物のように動き、根は左右に分かれた。

その人間の髪は深緑色で何年も手入れをしていない髪は伸び放題で、服もところどころ破れている。

「起きて」

ダイヤが人の傍にネックレスをたらすとネックレスからかけらが溶け出し、人間へと滴り落ちた。


かけらは人間の体に入った。

5人は動かない人間をずっと眺めた。
動くと信じて、ずっと。それはどんぐらい経つのか。

けど5人は諦めず待った。

1人の人間の命を奪ってまで掴んだ可能性。

「起きろ、もう朝だ、寝ぼすけ」

そう言って雫は人間の頬を触る。
その肌は冷たく、まるで屍のようだった。

「ねぇ…まさかしっ」

「そんなことない、本物だよ」

不安になったハートは言ってはいけない言葉を口に出そうとした。
それをダイヤがさえぎった。