もしかして、ユータに毒気でも抜かれたか? それだけでも異常なことなのに、マイケルはやっぱり全く気づいていない。

 おっと、そんなこと考えてる暇はなさそうだ。マイケルがサクラの顔を舐めにかかろうとしている。そうはさせるか!

 先ほどの要領で、思いっきりマイケルを蹴っ飛ばして空へと舞い上がる。今度は少し角度をつけて。

 おぉ、いい感じだ。このまま放物線を描いて落下すればちょうどサクラの唇の上。このまま、このまま。

 ブーン。そこに、どこから来たのか少し季節には早い蚊がオイラの横に並んだ。

「あっ、蚊」

 パチン――