どうやら失策だったらしい。どうもマイケルは、ユータとサクラの関係には鈍感だが、オイラのやろうとしていることには敏感だ。

「そうなると、お前はこのままサクラのそばにいけなくてもいいのか?」

「それは……嫌だワン」

「だったら、近くに行ってくれよ」

「でも、でも、そうなるとサクランの唇が危険だワン」

「わかったわかった。唇は狙わないから、とりあえず近くに行け」

「ホントかワン?」

「本当、本当」

「わかったワン」

 マイケルのいいところは、深くは疑わないというところだな。そして、マイケルは例の如く過剰の愛情をもってサクラに飛びついた。

 もっとゆっくり近づかなくちゃ、また蹴っ飛ばされるぞ! 思わず目を瞑ってしまったが、体が宙に浮く感覚はない。

ゆっくり目を開けてみれば、サクラは特に嫌がるわけでもなく、マイケルが体の上に乗っかってきても例の蹴りを繰り出す気配はなかった。