「あっ、ユータ君。私、サクラだけど」

 どうやら、出た人物はユータのようだ。インターフォン越しだから、声が違って聞こえたが、そういえば今日は朝から両親はどこかに出かけていて、ユータしか家に残っていなかったな。だからこそ、あれほどだらけた休日を過ごせていたのだろう。

「えっ? サクラちゃん? ど、どうしたの?」

 その慌てぶりが目に浮かびそうな声が聞こえてくる。サクラにもそれはわかったのだろう。何とも妖しげな笑みを浮かべている。うーん、それはそれでセクシーだな、やっぱり。

「あのね、今日友達とショッピングしてたんだけど、そこに何故かマイケルが来てね」

「マイケル!? ちょ、ちょっと待って!」

 インターフォンの向こうからドタバタという音が聞こえてくる。しばらくすると、スタスタ歩いてくる音が聞こえ、ついでユータの声が続く。

「本当だ。マイケル、いなくなってる」

「うん。それでね、今マイケルを連れてきてるんだけど……」

「えっ? 本当に? ありがとう! ちょっと待ってて!」

 ユータの「ちょっと待ってて」は、ちょっとというには少し時間がかかってたようだが、程なくして玄関の扉が開いてユータが顔を出した。

 慌てて着替えでもしたのだろう、多少ヨレヨレではあるが見られない格好ではなかった。ただ、髪の毛にまで気が回らなかったのか、寝癖がピョコンと立っている。

 そのユータは、サクラとその足元にいるマイケルを見て、あらためて目を見張っている。

「マイケル! お前、何だって……。いや、まあそれはいいや。それより、サクラちゃん」

 サクラに改めて視線を送るユータの頬が主に染まる。そりゃ、そうだろう。

いつも清楚な格好をしているサクラなのだが、今日の服装は目のやり場に困るぐらいの露出の高さ。まあ、オイラはこれはこれで好きだがな。

「あ、あの。ありがとう、わざわざ連れ帰ってくれて。で、その、もし良かったらお茶でも飲んでいかない?」