本当に、どこから来るのだその自信。頭が痛くなってきた。もう、どうとでもなれだ。マイケルの心配をするのを放棄して、とりあえず家に無事に戻ることだけを祈ろう。

 相変わらずサクラは、サクサク進んでいく。マイケルは、ウキウキ着いて行く。

もし、連れられている相手がユータだったら、マイケルはこんなに大人しく着いては行かない。遊びたい盛りだからな。

色んなところで道草食って、ユータがそのたびに困った顔をするはずだ。

 だけど、今のマイケルはサクラしか見てないから進みが速い速い。ほら、みろ。あれだけ走り回ったはずなのに、もうすぐ目の前に見覚えのあるでっかい家が見えてきた。

 サクラは、何の躊躇いもなく門柱に備え付けられているインターフォンを押した。

「……」

 どうしたわけか、誰も出ようとしない。もしかして、出かけちまったのか?

 サクラの顔を見れば、思いっきり不機嫌になっているのがわかる。おいおい、ヤバイぞユータ。サクラは、苛立ったようにもう一度力任せにインターフォンのボタンを押す。

「……はい」

 これまたしばらく間は開いたが、どうやら誰か出たようだ。ちなみに、ユータの家は、いわゆるお金持ちの分類に入るらしいが、他人が家の中に入り込むのを良しとしないマキコママの意向でお手伝いさんなどというものは置いていないらしい。

だから、でっかい家にも関わらず、住んでる人間はユータとその両親だけという何とも贅沢な使い方をしている。

それでも、できた母親なのだろう。家の中がそれほど汚れているところをみたことがない。自分で言い出した手前、手を抜くことも出来ないんだろうな。

というか、専業主婦とかいうやつで、暇をもてあましているのかも。