一方、サクラはというとただ黙々と歩いてます。マイケルなどいないが如く。

マイケルはマイケルで、尻尾をフリフリ嬉しそうにサクラの足元にぴったりと寄り添うように歩いてたりする。

まあ、傍からみれば普通に飼い主と飼い犬って見えるだろうな。いや、見えないか。いくらなんでも、サクラが無関心すぎる。

 とはいえ、道に迷ってたオイラたちにとってはサクラはまさに救世主。イヤイヤながらもユータの家まで連れて行ってくれるらしいからな。

ここは、マイケルに大人しくさせてサクラの不興を買うことだけは避けなければ。

「おい、マイケル。これでわかったろ? サクラはお前には全く関心がないことが」

「どういうことだワン?」

 どうやら、本当にわかってないらしい。これだけ無視され続けているというのに。

「だからだな。サクラは、お前というより犬全般が苦手らしいぞ。さっき、友達に向けてそう言ってたろ?」

「そうなのワン? でも、そんなこと関係ないワン。だって、ボクチンはただの犬じゃないからワン」

 ダメだ。マイケルに王子様説など説いたオイラの失策かもしれない。案の定――

「ボクチンは、サクランの王子様だワン。元の姿に戻ればサクランは、今以上にボクチンにメロメロだワン」