ジャクソンとマイケル

　本気で不思議がっているサクラも可愛いなー。サクラに言い寄られて落ちない男なんていないよな。うん、いないいない。

どうやら、今はユータを落とそうとしているみたいだが、オイラが人間になれればそんなの覆してやるってもんだ。

「もー、サクラってばわかってるくせにー」

　女子二人、何やら含んだ笑いをお互いにし合ってるが、それって意思疎通できてるのだろうか？　

どうも、二人とも腹のうちをすべて見せてないところがあるようなないような。目に見えない火花が散ってるようにも思えるのは、オイラの錯覚か？

　そんなオイラの思考を打ち破るように、マイケルが一声「ワン」と鳴いた。その声で、サクラたちもようやくオイラたちの存在を思い出したようだった。

「そうだ、このワンちゃんどうするの？」

「どうするって言われてもー。アタシ、あんまり犬って好きじゃないのよねー」

　おぉーっと、ここに来ての強烈パンチ。これは、マイケルに大ダメージを与えたんじゃないか？　

案の定、マイケルは地べたにへたり込んで頭まで垂れてしまってる。これは、結構効いたよなーって、ん？　何かおかしいぞ。

　マイケルの顔が見えるところまで回り込むと、その理由がわかった。何とも都合のいいことに、気持ち良さそうな顔して寝ていやがる。なんでこの状況で寝れるかな？

「でもでもー。このワンちゃんをユータ君のところに送り届ければ、ますます高感度アップって感じじゃない？」