ジャクソンとマイケル

「ねえ、なんだかこの辺り虫の鳴き声が多い気がするんだけど、気のせいかな？」

　どうやら、オイラたちのやりとりにサクラが気づいたようだった。なかなか、勘がするどいところがまたオイラの恋心に火をつける。

「そう？　気になるようだったら、虫除けスプレー買ってくるよ」

「うーん。そうだね、お願いしてもいいかな？」

　可愛らしく小首を傾げてユータにお願いしているサクラに、ユータのみならずマイケルまで鼻の下を伸ばしてみている。

まあ、かくゆうオイラもその一人いや一匹ではあるんだけど。

「じゃあ、ちょっと待っててね。近くのコンビニで買ってくる。すぐ戻ってくるからね」

　そう言うが早いか、ユータは一目散に駆け出した。

　おっし、チャンスだな。と、思った矢先そう思ったのは何もオイラだけではなくて、マイケルがサクラに対して猛アピールに出だした。

　座っているサクラの上に、自分の大きな身体を活かしてのしかかっている。こればっかりは、見過ごすわけにはいかない。

　少々焦りつつ、慌ててオイラの作戦に出ようとしたところでオイラの頭上を大きな真っ黒い塊が吹っ飛んでいくのが見えた。