「重大な事ですからね、家族の方が揃っていないと」


「ハァ」


 私は苛立った。


 お父さんって、何にでもお母さんや他人に任せっきり…


 肝心な時にいないのだから、歯がゆくて仕方がない。


「娘さん、落ち着いて落ち着いて」


 慌ただしく動く私を、担当医は落ち着いた口調でなだめた。


 結局、叔父さんが代わりに一緒に話しを聞く事となった。


 検査結果は…



 脳内出血…


 もう、助かる見込みはなし。


 MRIで撮った写真を前に担当医が症状を詳しく説明してくれた。


 お母さんは血圧がかなり高い方だった。

 夏真っ盛りの今、暑がりのお母さんはクーラーをガンガン効かせた部屋で過ごしていた。

 当然、体は冷えきってしまう。


 そして、体が冷えた状態で暑い湯舟に浸かったものだから…


 急激な温度変化によって後頭部辺りの血管が破れ、脳内出血を起こしてしまったと言う訳だ。