でも体が勝手に動いてしまった。
沖永の方へ。
「…沖永何してんだよ」
俺は沖永に聞いた。
ユイは今だに床に倒れ込んでいた。
悲しみに満ち溢れた顔をして。
「…何って…俺は………ゴメン…ユイ…殴るつもりはなかった……」
沖永はユイを殴った手を開き喚いた。
今まで見たことのない沖永だった。
何か悪魔に占領されているかのように。
「…沖永くん…あたしを…どう思って殴るの…??」
ユイは立ち上がり悲しそうな顔をして言った。
「……大好きなユイは……俺に振り向かない……ムカついた…」
沖永は死んだ魚のような目をして言った。
単語を並べながら言い放つ沖永は今まで見たことのないくらい
悲しそうだった。
「兄ちゃんどうかしたかいな…??」
おっちゃんが駄菓子屋から部屋へと顔をだした。
「…何でもないっすよ。ただの痴話喧嘩です。」
俺は愛想わらいをして言った。
おっちゃんはそーかぃ??と言い駄菓子屋に戻っていった。

