差し出された手は、さっき
あの男子生徒を殴った手なんだけど
それでも、同じ手とは思えない
くらい暖かかった。
「先生は???」
「あぁ嘘だったみたいだ。」
「えっ?」
「大野がとっさに叫んだみたいだな。」
声のした方に目線を動かす。
まっすぐな視線で衛を見つめる
佳奈先輩。
先輩だったんだ・・・。
「怪我はしてないか。」
「うん。」
衛の手に支えられ起き上る。
まだ膝がガクガクって震えてる。
「これ見せに来てくれたの?」
衛が廊下にばらまかれた試験用紙を
屈みこみながら拾っている。
「わぁーーーー。恥ずかしい//////」
わたしにとっては最高の成績だよ。
でも、でもそんな一般公開出来るような
成績じゃないよ。
泣きたいよ。
わたしは、顔を上げられなくて俯いてしまう。
「よくがんばったな。」
そんなわたしの頭を衛が
撫でてくれたんだ。



