先生と向かいあって、その手は先生の頬に触れている。 先生は大きく見開いた目で幽霊を見つめていた。 「…け、圭子…」 そのつぶやきは紗希たちの元には届かなかったけれど、 唇がかすかに動いたことは見てとれた。 『…絵里、みーつけた。 逃がサな…いわよ…』 その、低く暗い声に、紗希は全身が震えた。 歯と歯がカチカチとなる。 足に力が入らない。 それを破ったのは、またもや航平だった。 「千堂、逃げるぞ…!」