「…我慢できなくなって、日本人形を取りあげたの。
取り返そうと、わたしを追いかける途中で、圭子は階段から足を滑らせてしまった…」
あまりの内容に、誰も何も言えなかった。
「わたしっ…、怖くて…、人形にすべてを見られた気がして…どうしたらいいかわからなくて…
結局、人形はこっそり焼却炉に捨ててしまったの…」
皆が押し黙り、辺りはシーンとなった。
その空気を壊そうとするかのように、香奈枝が明るい声を出す。
「ね、ねぇ! 似たような日本人形買っておいといたら、成仏しないかなぁ?」
「そもそも、日本人形なんてドコに売ってるんだよ」
悠二が呆れた顔をして、香奈枝を見た。
「え、え~と、人形屋さん?」



