わざわざ怪談話になるくらいだから、不気味なところでフランス人形が紗希の予想だった。
日本人形を持ち歩くなんて、不気味にもほどがあるわ…!!
「その人形の名前はエリー。わたしの名前は絵里。
日本人形にカタカナの名前を付けてまでエリーにこだわったのは、
わたしの名前から付けたからだとしか思えなかった」
「ちょっと、それ…、怖すぎなんだけど」
香奈枝が立ちあがって、悠二の腕に抱きついた。
紗希も自然と、航平の側による。
「毎日毎日、人形に向かってエリーって呼びかけて、その姿が不気味で…怖くて…。
圭子を見捨てたわたしを責めているように感じたの。
だから、わたしっ…」
先生は口もとに手を当てて、むせび泣いた。



