「ええ。でも、圭子がイジメられるようになって…、
わたしは自分もイジメられるのが嫌で、離れてしまったの」
それは、どこにでもありそうな話。
あたしだって、香奈枝がイジメられても、変わらず友達でいれるかなんて、
わかんない気がする。
「そしたらね、圭子が人形を学校に持ってきて、その人形に話しかけるようにな
ったの」
「ねえ、先生」
ちょうど人形の話になったので、紗希は気になっていることを聞こうと、口を開
いた。
皆の視線が紗希に移動する。
「その人形ってどんな人形なの?」
その問いに、なぜか先生は押し黙った。



