なんてことなの…。 紗希は気づいた。 階段を下りていた二人は、今、例の階段にいた。 あの、真夏でもひんやりとする不気味な階段。 ちょうど、3階から2階へ向かう真ん中の踊り場で、立ち止まっていた。 や、やだ…。 今日はいつもより涼しいからか、 航平と二人きりで舞い上がっていたからか。 こんな大事なことに気付かないなんて…。 「ね、ねぇ、早く行こう」 「え、おい!?」