きっと、わざとだ。 香奈枝、あたしと航平くんを二人きりにしてくれるって言ってたもの。 「ま、そのうち、どっかで合流できるだろ。行こっか」 「うん」 紗希と航平は並んで歩き出した。 近くの階段を下りていると、不意に航平が立ち止まった。 「あのさ…」 「うん?」 どうしたんだろう、と紗希が航平を見上げると、 真剣な瞳と目が合った。 「千堂って、好きなヤツいるのか?」