「朝は涼しいかもしれないけど、昼間は暑くなるんじゃねーか?」 「やっぱり?」 「うん…て、あれ?」 「ん?」 航平が紗希の向こう、廊下の先へと目をやった。 つられて、紗希も同じ方を見る。 「…あれ?」 香奈枝たちがいなかった。 「あいつら、俺たちを置いてったな…」 「そ、そうだね…」 紗希は困ったフリをしながら、ニヤけそうな口もとを引き締めていた。