「もう…」 先生ははぁとため息をついて、香奈枝の後ろを歩きだした。 「仕方ないわね。さっさと済ませるわよ」 先生が携帯で警備員さんに断りを入れてから、紗希達は校舎を回った。 しかし、というか、やっぱりというか。 案の定、何も出ないまま、4階まで回り終えた。 夜の階段はひんやりするくらいで済むのか。 ひそかに怖かった紗希は、あの階段を使わずに回り、 特に何も起こらなかったことで肩の力を抜いた。 緊張してるつもりはなかったけど、いつの間にか力が入っていたようだ。 「ほら、もう帰るわよ」