「怖いんだ?」 「こ、怖くないわよ」 紗希はつい、強がってしまう。 可愛くない。 自分でも、こんな女は可愛くないってわかってるけど、 なかなか自分を変えることなんてできない。 紗希の反応に、航平はぶはっと笑った。 「千堂らしいな。ほら」 航平は紗希に手を差し出した。 「あ、ありがとう…」 紗希は「一人で大丈夫」って言いそうになるのをこらえた。 実際、一人ではダメだ。 怖い。 それに、せっかくのチャンス。