紗希たちは助走をつけてジャンプして校門をよじ登り、 例の美術室の窓から校舎に侵入した。 誰もいない廊下はもちろん真っ暗で、静まり返っている。 や、やだ。 怖い…! 紗希は怖さのあまり、香奈枝の腕にしがみついた。 「ね、ねえ…幽霊なんていないじゃない。帰ろうよ」 「ダメ! グルッと一周するんだから」 香奈枝はキツイ声を出す。 「てか、紗希。 あたしにしがみついてないで、航平くんに守ってもらいなさいよ」 「え!?」 「ん、俺?」