悠二は感情が顔に出やすく、朝のように不機嫌な時は少し怖いけど、
普段は意外といいヤツだ。
香奈枝に似て、おもしろいことが好きなタイプだけど、
こういう時は香奈枝よりも気がきいて、優しい。
悠二のことも、友達として好きだった。
「あ、ううん。いいの」
紗希は慌てて、顔と手を横に振った。
「行くなら着いてくけど、やっぱり夜の学校は不気味だなぁって思って」
「たしかに」
航平も学校を見上げた。
「ま、ホントに幽霊でるわけないし、さっさと言って帰ってこようか」
航平が紗希に向かって、笑って言った。
紗希はそれだけで幸せな気分になって、怖さも吹き飛んだ。



