愛しのエリー【ホラー短編】


「ううん、いいよ。それよりも、ホントに行くの?」


紗希は学校を見上げた。



校門の向こうにそびえ立つ校舎。


見慣れたはずなのに、すごく不気味だ。



真っ暗な窓の向こうから、例の幽霊の顔でも見えそうな雰囲気。



ここに幽霊がいない方がおかしい。


そんなことまで思えてしまう。




「あったり前でしょ。ここまで来たんだから、確かめなきゃ」


香奈枝は怖さも楽しんでいた。



「悪いな、紗希ちゃん。こいつ、言い出したら聞かなくて」


悠二が申し訳なさそうな顔をした。