『あっ 高瀬君 お疲れ様です。帰るんですか?』


何となく緊張してしまう私

田崎さんは繋いだ手をギュッと強く握った


『あぁ 今から飲みに行くんだ。麗奈は?』


ーーー何言ってんの!
麗奈って何よーーー!


『私は…』

『始めまして、田崎と言います。麗奈彼を紹介して?』

なんか…わざと?
腰に手を回して首を傾けて"ん?"なんて言っている


『あのね、私と同期の高瀬君。』


『高瀬です。』


『そう。同期なんだ…じゃあ彼にも僕達の結婚式出てもらえると良いね…
今から式の打ち合わせだから失礼するよ。』


『け…っ結婚式?』


『まだ公表していないの…いずれ支店長から説明あります。
退職は4月だけどそれまで宜しくお願いします。』


『本当なの?彼と結婚するの?』


私は頷いた…
高瀬君の何とも言えない表情に胸が痛む


こんな伝え方したくなかった…

高瀬君は私を困らせる事なんかいつもしない

気持ちをストレートに伝えてくれるけれど私の幸せも願ってくれた


『じゃあまたね』

私は精一杯の笑顔で別れを告げた

『待ってください』