でもそれは作為的な香水の匂いではなく自然なモノ。



『どうしたの?帰ろう?』



ボーッとする俺の手を千里の細く白い腕が包む。


ギュッと握られている千里の腕はホントにか細くて、脆くて脆くて、いつか離れて行ってしまうんじゃないかと不安になる。





『・・・もう手ぇ繋がないで』


だから、千里を突き放した。


千里はさっきまでの柔らかい表情を一気に消し去り、一瞬で落胆な表情をする。





ゴメン、千里。


俺は、恐かったんだ。


君を失うのが。


その白い腕とか、茶色い瞳とか、柔らかい髪とか見る度に心が震えて。





どんどん、溺れて行くのを感じていた。