「・・・遅い。貸して」
「あ・・・っ」
ひょい。
私の方を振り向くと、持っていた紙袋を取り上げる秋人くん。
分かんない。
分かんない。
秋人くんの気持ちが、分からない。
私に、優しいの?
それとも・・・冷たいの?
夕日に染まった地面と、広い前を歩く秋人くんの背中が涙でぼやける。
いっつも、追いかけるだけの背中。
小さい頃から、追いかけるだけの。
「秋人くんっ」
「・・・ん?」
追いかけるだけの、悲しい恋でも良いと思ってた。
「好きなのっ」
でも、それだけじゃ足りなくて。
溢れ出した、思いはきっと、止められない。
