無口な君と恋する理由。


「じゃあ、あたしそろそろ行くねーっ?」


「・・・うん」



そんな顔、するんだ。



私には絶対、そんな顔しないくせに。


冷たい瞳で、冷たい声で話すくせに。


寺尾さんには、他のコには、するの?



そんな、優しい秋人くんの顔。






「・・・千里、早くして」


「・・・っ・・・うん」



気付かない。


私が涙ぐんでいることも。


荷物が重いことも。




言うことだって、いつも同じ。



“早くして”の、冷たい言葉。




それでも、良いかなって思ってたよ。


ずっと、このままで良いよって。


でもね・・・。