道の脇で、春美さんが鬼たちに気付かれないよう、僕へそっと手を振った。 見えないふりをして僕は春美さんの横を足早に通り過ぎる。 僕には春美さんの顔を見る勇気がなかった。 だって僕は、百鬼夜行に飲み込まれ、この家を去らなくちゃいけないのだから。 あの家にはもう二度と百鬼夜行が現れることはないだろう。 秋には取り壊され、新しいマンションが建つ。 <了>