私と健が出会ったのは曇り空の日だった。
出会わないほうがよかったのかもしれない。
出会わなければ今も君は笑っていたかもしれない。





雨降りそうだな・・・。

傘持ってきてないや。
まぁなんとかなるか。

そんなことを思いながら5時間目をサボって
屋上から周りの景色を見ていた。

何十年か前この屋上で生徒が自殺したらしく
屋上には頑丈なフェンスが張られていたけど
私はフェンスの外に出て空を見上げるのが好きだった。

あの時もそれをしようと思ってフェンスに上っていた。

「あんた死ぬの?」

声のするほうを見ると
楽しそうに笑う君が立っていた。

「そんな馬鹿なことしないですから。」

なんの気持ちもこめず
無表情でそういった私。

君は少し嫌な顔をしたけど、また笑って

「そっか。でも俺死ぬことが馬鹿なことだとは思わないよ。」

って永遠と死について語ってた。

正直かなりうざかったけど
君の笑顔を見るとなんでかわからないけどうざいなんていえなかった。

「俺3年の須崎健(すざきけん)っていうのよろしく。そっちは?」

「・・・1年の月島千尋(つきしまちひろ)です。」

「1年なのにさぼり?不良なんだ(笑)」

「授業なんて役に立たないから受けてないだけです。
 それに私は不良じゃないです。あんな馬鹿達と一緒にしないでください。」

「ほんと君面白いね。俺その馬鹿の一員なんだけど。」

「そんなの見たらわかりますから。」

「まっ確かに俺の髪赤いもんね。でもこれ地毛だよ?
 てかさ俺不良なのわかってて馬鹿とかいったわけ?」

「相手が誰でも関係ないです。馬鹿は馬鹿ですから。
 それじゃ失礼します。あっあと髪の根元黒いですよ。」

「君変わってんね。これは地毛なんだよ。さっき言ったじゃん。
 …あっ!アドおしえてよ♪」

「携帯持ってないんで。」

「まじ!?今時珍しいね。」

「必要ないですから」

君はまだなんかいってたけど

私は無視して帰った。

もともと人付き合いが嫌いだし

うるさい人と不良は私の中で1番嫌いなもの。

健はその両方を兼ね備えていた。

だから私は健が大嫌いだった。