僕は人をかきわけ、彼女に近づいた。

「夏美?」

呼ばれた瞬間、ビクッと肩を震わせた夏美。

まるで怖いものを見るように、ビクビクと躰を震わせて僕を見る。

「……悠斗」

そう言った彼女の声は、震えていた。

「きてたんだ…」

何でそんなに、震えているのだろう?

「きたって言うか、ヒマだったからみたいな。

んで、夏美は?

彼氏どうしたの?」

そう聞いた僕に、夏美は背中を見せた。

「おいっ!」

逃げようとした彼女の腕を、つかんだ。