「花火大会、あんま楽しめなかったね」

線香花火の光を見ながら、夏美が言った。

「そうだね」

僕の家の庭。

花火大会が終わった後、僕たちは2人で花火をしていた。

「けど…まあ、いいんじゃない?」

そう言った僕に、夏美は首を傾げる。

「来年があるんだし」

我ながら、当たり前過ぎるセリフ。

かっこつけるんだったら、もう少しマシなこと言えよ…。

キザなセリフ1つも言えない自分に、泣けてくる。

けどそんな僕に、夏美は、
「来年は、一緒に行こうね」

微笑みながら、そう言った。


☆★END☆★