思いもよらない事が起こるのが人生であり、そうでなければ楽しくない。



俺の場合は真咲と出会えた事こそ、一番の転機だったと自信を持って言える――…




「・・・はぁ」


山積した書類を前にしても、午後から始まる会議の事を考えてみようとも止まらない。



これで何度目か分からないほど、ペンをクルクル回しながら出る溜め息に失笑モノだ。



「なに珍しいじゃん?溜め息なんかついちゃって…!」


するとソレを目ざとく見つけ、暑苦しいの代名詞――日野が俺のデスクへやって来た。



「・・・」


「いや川崎、スルーされると結構悲しいぞ?」


「それは良かった」


オフィス内からも暑さを感じる気候を、さらに高めるヤツに周りも知らん顔で。



いつもならツッコミくらい返している俺も、今日はその気がサラサラ起きない。


「ハッ、ひでぇヤツ!」


チョッとだけ静かになった事に笑えば、明らかに不服そうな表情に変わるヤツ。


「ほら時間だ――早く行くぞ」


「ハイハイ」


憤慨している日野を尻目に席を立つと、まず片付けるは部内ミーティングだ。