アノ日の真咲のドレス姿を思い出すと、顔が綻ぶヤツもココにいるし…?



「それより大和、こんな所で待つつもりか?」


「あー…、まだ連絡していないので」


続々と帰社する朝倉の社員の視線を浴びながら、待つのは正直言えば苦痛だけど。



勝手に迎えにやって来た自分のせい、と諦め半分で彼女を待つつもりだったのだ。



「丁度いい、私のトコで茶でも飲んで行け。

あ、キミはもう帰って良いから」


「かしこまりました、失礼いたします」


俺の返答を聞くよりも先に、専属秘書に声を掛けて先に帰宅を促していて。



それから笑った平蔵さんは、半ば強引に俺を引き連れて社屋へ舞い戻って行く。



カリスマ的存在の会長へ向けられる視線に、注目度がアップしただけというのに…。




彼のあとをついて到着したのは会長室で、向かい合って革張りのソファへついた。



「失礼いたします、どうぞ」


「ありがとうございます」


残っていた秘書らしき女性は、タイミング良く新緑のお茶を差し出してくれる。