そんなヤツを尻目に、亜実ちゃんを抱き上げながら小さく溜め息をついてしまう…。



「日野さんって言うんですね?

私は真咲の親友の、小林 泉(コバヤシイズミ)です。

こちらこそ宜しくお願いします」


すると暑苦しい日野にニッコリ笑顔を向け、丁寧に挨拶を返した小林さん。



「やー、美人っすね」


「えー、日野さん上手いなぁ!

美人だったら、今フリーな訳ありませんよー」


「うわ、マジで!?」


「ウソなんてつきませんよー」


「・・・・・」


互いにコンパ慣れしているからだろう、初対面から上手く探り合っていた。



そのうえ…何というか、小林さんと会った事で暑苦しさが一層増した玄関。



亜実ちゃんを抱きかかえたまま、俺は一足先にリビングへと向かってしまう――…




「ただいま、真咲」


「あ、お帰りなさい」


リビングへと近づく度に漂っていたが、入室すると香ばしい匂いに包まれた。



そして優しい声で出迎えてくれたのは、テーブルセッティングをする奥さん。