早起きは慣れているから強いと言う彼女でも、やっぱり昨夜は辛かったようで。



結婚後は残業が増えた分、ただでさえ疲れている中での蹂躙となれば相当だろう…。



「さて、と…」


未だうるさい目覚まし時計を俺が止めると、再びスーっと寝息が立ち始めたので。



彼女の首元から気づかれないよう、そっと腕を引き抜くと静かに起き上がった――





「ああー、ゴメンなさい!

目覚ましが鳴らなくって、すっかり…」


俺が活動を始めてから30分後、バタバタとスリッパの足音を立てながら。



パジャマ姿でリビングへと入って来た真咲は、なぜか開口一番に謝ってくれるが。



ちょうど手にしていたお皿をテーブルに置くと、シュンと項垂れる彼女の許へ向かう。




「…ごめんね」


負けず嫌いで物事をしっかりこなしたい真咲だからこそ、落ち込みは相当らしい。



「…いいんだよ、協力するのが当然じゃん」


「…ダメだよ。私が働かせて貰えるのは…」


寝坊なんて…と、笑い飛ばせない彼女の性格だから、その代わりに抱き締めてしまう。