ようやくマンションへと到着した俺たちは、玄関のインターフォンを鳴らした。



「あ、いま開けるねー」


「うん」


スッと耳に届く優しい声が、一日のバタバタ加減を吹き飛ばしてくれるから不思議だ。



「あー、何となく帰りたくなるの分かるわ…」


「フッ…、そうだろ?」


玄関のドアが開くまでの瞬間、ポツリと日野が呟いた言葉で俺は笑ってしまう。



そしてガチャガチャッと音がすると、閉ざされていたドアがゆっくり開いた…。




「大和くん、おかえりなさーい」


「うん、ただいま」


小さな身体で駆けて来てくれたらしい、亜実ちゃんの出迎えに顔が綻んでしまう。



「あ、この子が…」


「そ、義妹の亜実ちゃん。メチャクチャ可愛いだろ?」


「ハハッ、オマエもうデレデレじゃん」


「当たり前――」


ただ疲れを取る為に帰る生活が、待ってくれてる人の顔を見たいと思うようになった。