誰か一人に執着するなんて、絶対に無いだろうと思っていた考えも。



何を置いてでも守り抜きたいと、見返りなど考えずに差し伸べたくなる手も。



いつでもムリして笑う強さも弱さも、すべてが可愛くて仕方が無いから。



いま腕の中で眠る健やかな寝顔を見せる子で、ガラリと変化を遂げた・・・




腕枕をしながら、そんな奥さんの真咲を眺めている俺は、川崎 大和。



俺なりに相当気遣ったつもりだけど、グッスリ眠る姿は疲れさせたに違いない。



胸元に敢えてつけたキスマークを見ると、自分のモノだという実感が沸いてくる…。




するとその時、真咲がいつもセットしている目覚まし時計のアラーム音が鳴り響いた。



起こさないようにと、結婚前から別室で眠っていたらしい亜実ちゃんの弁当作りの為だ。



「…う、うーん…、もぉ…」


うるさい目覚まし時計が差す時刻は、そろそろ夜明け間近の午前5時30分。



俺の腕の中で寝惚けている彼女が、ブツブツ文句を言いながら手をモゾモゾ動かし出す。