本部の叱咤を受けて、掲げたノルマを達成するのは容易な事ではないのだが。



それを達成した時の喜びとプライベートが、俺の日々を満たしてくれていた。



だけど、何よりも大切な人が現れると“どうでも良く”思えてしまったんだ…。



「まさ…ッ」


ドア付近でためらうのは愛しい子たちで、思わず起き上がろうとすれば痛みを覚えた。


「大和…!」


そんな俺の姿で真っ先に駆けつけたのは、大きな瞳に涙を一杯に溜めていた真咲。




「ま、さき…、どうして…」


「どうしてもじゃないよ…!

わたし、し、んぱいで…、心配で…っ」


身体をそっと支えながら態勢を元に戻してくれると、限界の涙がポロポロ零れた。



「――…ごめん」


「・・・っ」


ベッドのすみで顔を隠して泣く彼女は、俺の謝罪にフルフルと頭を振ってくれる。



嗚咽を漏らして、身体が小刻みに震えて、とにかくソレを抱きしめてやりたいのに。



俺を気遣い、あえて手の届かないところで泣く彼女に心がズキズキ痛みを覚えた。