秋桜が散る前に


ふと、気がついた。


そうだ。私と秋くんは、同じかもしれない。



「秋くんは、どうして神様を信じられなくなったの?」




ちょっと期待をこめて、聞いてみる。



だけど、秋くんは困ったように考え出した。




「…わかんねぇな。どうしてだろ。でも、奏太が死んでから…はっきり思ったな。」


「教会に入りにくくなったのも?」


「あぁ、それは確かにそうかもな。」




秋くんはそう言ってハハッと笑った。


私が怪訝に思っていると、




「俺達、同じだな。…奏太っていう人間をなくして、支えを失ってる。」

「秋くんにも、奏太くんは支えになってたの?」



それは意外だった。


空くんとの絡みを見たからか、私の中の秋くんはわりと奏太くんに近かった。


しっかり者の、頑張り屋。


私の中の秋くんは、そんなイメージだった。


秋くんはちょっとムッとしたような顔をしたけれど、すぐにその表情は憂いに変わった。




「俺ん家、俺が小5んとき離婚して、1年もしないうちにおふくろが別の男と再婚したんだ。で…よくある話で、グレたわけだ。」