秋桜が散る前に


―神様はいるのかな?―


幼い頃から、ずっと思っていた疑問だった。


神様がいるなら、どうして私は独りぼっちなんだろう?


どうして、奏太くんは死んだんだろう?



牧師さんなら、こんなとき、なんて言うかな…




「神様は、信じなくていいよ。私も、信じてないから。」


「信じてない?咲夢さんが?」


「そんなに意外?」


「うん、まぁ…だって、好きなんだろ?賛美歌。」


「好きだよ。賛美歌は。人が作った形あるものだからね。…でも神様は、見えない。」




見えないのに、信じられない。


信じる事なんてできない。


確かな証拠がほしい。



空を突き抜けても、真っ暗な宇宙が広がるだけだし、


死んだ人には話を聞けない。



そんなので、どうして信じろって言うの?




「咲夢さんは、見えないものは嫌い?」


「嫌いじゃない…信じられないだけ。1年前から、信じられなくなった、だけ…」




そう、奏太くんが死んでから、私は神様を信じなくなった。


形のないものを、信じなくなった。