「悪い悪い。つい、咲夢さんが面白くて…」
「面白い?」
って、何が?
ハテナマークがたくさん飛び交っている私の頭を秋くんは笑いながら撫でた。
なにこれ。子供扱いされてるの!?
「まぁ、がんばれ。そうだ。家のいらない扇風機持ってく?」
「えっ、ホント!?」
それは私にとって実に魅力的な提案だった。
だって、私が使うわけでもない扇風機の揉め事からちょっと解放されるんだし。
「あ、あとバイトまでどれくらい時間ある?」
「え?んーと…」
私は時間を確かめるためにケータイを出した。
時間を確認して、びっくりした。
「私、30分も立ち話してたんだ…」
会話がつい楽しくて、忘れていた。
ここはまだ教会の前だ。
そう思うと、なんだか秋くんに対して悪い気がしてきた。
「ねぇっ、中に入らない?」



