秋桜が散る前に




「あっちーな。もう夏か…たしかガブリエルでは扇風機の取合いになるんだっけ?」




と秋くんは、話題を変えた。


私はその話題にくらいついた。



だってそれは、私にとってテストより重要な話だったから。




「そーなんだよ!クーラーは部屋に付いてるんだけど、全然冷えないから、みんな扇風機のとこ行っちゃって、ケンカし始めるんだから。」




だから毎年夏は戦争だ。

私はあんまり暑さとか気にしないけど(私が冷え性ってのもあるんだけど。)みんなは暑いらしい。


おかげさまで大忙しになるんだから。勘弁してほしい。




「で、今年は扇風機増えそう?」


「無理だよ。何人いると思ってるの?」


「そうだな。さすがに10台もそろえられないよな。」




クククッと笑いをかみ締める秋くんに、私のなけなしの殺意を向けた。



もうっ、他人事(そうだけど)みたいにっ…大変なんだからねっ!