秋桜が散る前に





「今日は、親父に呼ばれたからここに来たんだ…だから、あの教会の前にいた。」


「そう、なんだ…全然知らなかった。」




よく見れば空くんはスーツを着ていて、単なる高校生じゃない事なんて一発で分かる。


それでも空くんはその驚異的な童顔のせいか、なんか、お父さんのマネしてみた子供みたいだった。


そもそも、高校生に見えないし。




「…最近、よく秋と会ってんの?」


「え…あ、はい。よくってほどじゃないけど、たまに…」




社長子息だなんて聞いたから、なんだか敬語になっちゃった。


あ、でも一応空くんは奏太くんと同い年だから、私の1コ年上なんだよね…だったら、正しいのかな。


あ、てことは秋くんもだ…。


ずっとタメ口だったけど…(出会いが出会いだったし。)




「サクラちゃんは、奏太の妹…だったんだよね…?」


「はい、まぁ…」


「本当に?」


「いえ…その、血は繋がってませんけど…?」




そう言うと、空くんは黙ってしまった。


変なの。


孤児院育ちなんだから、血なんか繋がっているわけのは、分かりきってるのに。