「いつもあんな感じなの?」




私は歩きながら秋くんに聞いた。


秋くんはバツが悪そうにまぁなー。と答えて言った。




「あいつは俺と奏太の2人がかりで叱らないと落ち着かないんだよ。最近は俺1人だから、手が掛かって仕方がない。」


「まるで親と子供の図だったよ。」


「嫌なとこつくなよ。けっこうコンプレックスだったりするんだぜ?」


「年増臭いって?」


「だから言うなって。」



そう言って秋くんは私の頭をコツンと叩くと、ふと気付いたように言った。




「随分軽い音が響いたな。のーみそカラッポなんじゃねぇ?」


「なっ…!そんな事ないよ!真ん中ぐらいだもんっ!」


「ホントかぁ~?サバよんでんじゃねぇの?」




ムカッとして、私も秋くんの頭を叩いてやろうとしたけど、身長があたしの邪魔をする。




「ちっちゃいと不便だね~。咲夢さん?」


「うるさいっ。152cmで悪かったですねっ!秋くんは大きすぎなんだよ!巨人じゃん!」




ここ数週間で、私は秋くんと軽口を言い合えるくらいになっていた。

それはとっても心地よくて、温かな時間。



そうだ。



秋くんと言い合いながら、私は気付いた。



奏太くんのことを考えなくなったのは、秋くんとこんな風におしゃべりするようになってからだ…