秋桜が散る前に




「う、うわぁーぶー!うわぁーん!」


「あー、七瀬おなか減ったのかな?」




大変、ミルク作らなきゃ。




「秋くん、早和と一馬お願い!」




私は七瀬を教会のベビーベッドに寝かせて、可哀相だけど泣かせっ放しにしてキッチンに駆け込んだ。




「えーと、哺乳瓶と…」



熱消毒は…してある。


お湯沸かして…




「あー!ぶー!あーん!」




泣き声はますますひどくなる。




「う、うわぁーん!わーん!」




えっ…今の声…一馬!?

もらい泣きしちゃったの!?




「ふ…ふえっ…」




えー!早和まで!



オロオロしている秋くんが目に浮かびそうだ。



なにか…あとちょっと間を持たせる何か…!



考えもなしにパッと思い付いた事を実行した。



お腹に力を入れる―…




「―…神のみこは今宵しも

ベツレヘムに生まれたもう

いざや友よもろともに

急ぎゆきて拝まずや

急ぎゆきて拝まずや…―」