それでも奏太くんは起きずに、あっさりと灰になった。




慢性骨髄性白血病




それが奏太くんを殺した病気の名前。


発覚したときにはもう急性転化していて、骨髄移植も間に合わずに死んでしまった。



奏太くんの骨は教会の墓地に埋められた。




『NARUSEGAWA SOUTA』




墓標には、新しく奏太くんの名前が付け加えられた。



骨が入れられると、みんなはさっさと孤児院へ帰って行く。


私は動けない。



周りには、もう散って枯れかけているコスモス。


奏太くんが大好きだった花。




そうか…もう会えないんだ。




そんな当たり前の事が今分かって、私はようやく泣いた。



大泣きした。



日が暮れるまで、お母さんが迎えに来てくれるまで泣いた。




いくら泣いても、後悔だけは、消えなかった。